社会課題 河川/海洋ごみ調べる・知る・学ぶ


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河川/海洋ごみはもはや他人事ではない?

近年、世界経済フォーラムや伊勢志摩サミットでもその対処について議論がされた『海洋ごみ問題』。社会課題としてようやく世間に認知され始めたようです。ところで、海洋ごみの5~8割(例えば、JEAN,2007)は河川を通って海へと流出している(※)ことをご存知でしょうか?

古いようで新しい社会課題『河川/海洋ごみ』。 このページでは『河川ごみ』、『海洋ごみ』について紹介します。
※Ocean Conservancy(2009)のレポートでは海洋ごみの95%が陸域由来といった報告もあります。

最初に

科学の力は日進月歩です。このページの記載内容についてはあくまで私たちが調べた段階で分かっていることです。このページは”いつも情報更新中”です。情報は適宜ご自身でアップデートしていただけると幸いです。

荒川から地球が見えてくる!

荒川から地球が見えてくる!

都市部を流れる荒川を例にとってみてみましょう。荒川の流域人口は約1,000万人。沿川に最も多くの人々が住んでいる川の1つです。荒川には人工河川ながら豊かな自然が創出されています。河川敷には以下の写真のように大量の人工系ごみが漂着・堆積しています。これも荒川の1つの姿。この約300㎡エリアに漂着したペットボトルの数は推計5万本にもおよびます。
※荒川におけるごみ調査データはこちら

生態系への影響

破片となり生き物に取り込まれる

マイクロプラスチックという言葉をご存知でしょうか?環境中に流出した大きさ5mm以下のプラスチックごみの総称です。水中の有害化学物質(PCBsやDDT等)との親和性が高いことからそれらを吸着することが知られています。マイクロプラスチックに付着した有害化学物質は食物連鎖を通じて生物濃縮されます。生物へ及ぼす影響については研究途上にあると言えます(山下ら、2016)。ナノサイズまで細かくなったプラスチックごみは物理的にはプランクトンや稚仔魚にも取りこまれることが分かっており、今後、予防原則的な措置が必要になってくるでしょう。

生き物にからみつく

生き物にからみつく

これはタイマイという種類のウミガメです。子ガメの時に漁網に絡まってしまったのでしょうか?腐食しにくい漁網はじわじわと彼らを蝕みます。余談ですが、ウミガメがポリ袋を誤食し、死亡するといった報告…誤食をするのは事実ですが、それで死亡することについての科学的な根拠は薄いです。

そして世界の海へ・・・

川ごみは待った無しの社会課題! 荒川のごみを拾って地球環境に貢献

「太平洋ごみベルト」をご存知でしょうか?サンフランシスコとハワイのほぼ中間にあたる北太平洋に存在します。海流のよどみとなっているこの海域では、様々な漂流物が集積しています。プラスチック類などの人工系ごみも多く、目に見えないほど細かくなったそれらのごみを魚介類や鳥類が誤飲・誤食している事例(例えば、綿貫2014)が報告されています。

ICC調査って?

荒川クリーンエイド・フォーラムではICC(International Coastal Cleanup:国際海岸クリーンアップ)調査を行っています。ICCの詳細は(一社)JEANのwebサイトに紹介されています。

ICCはアメリカの環境NGO「オーシャン・コンサーバンシー(Ocean Conservancy 」の呼びかけに応えて、1990年に日本でもスタートした国際的な海洋環境保護活動です。

ICCには下記のような特徴があり、2009年に公布・施行された海岸漂着物処理推進法にもICCの結果が活用されました。

  • 世界共通の方法でごみのデータをとりながら
  • 世界のデータと比較できる
  • ごみの発生源対策に向けデータが活用される
  • 調べることでごみ問題の気づきを促す

川ごみ調査カードの見本

荒川クリーンエイド・フォーラムが使用しているのは国際海岸クリーンアップ(ICC)キャンペーンに準拠した河川版ICC調査カードです。40項目以上にわたり分類することから面倒な調査ですが、「面倒なことには価値がある」です。
記録をするのは正直面倒ですが、ただの清掃ではなく、活動に意義を持たせたい場合はぜひご利用下さい。

人工系ごみとどう向き合うかが問題

河川・海洋ごみ問題は、プラスチックなどの人工系ごみとどう向き合うかということです。私たちの生活に深く浸透した”軽量で丈夫なプラスチック”。プラスチックのない生活は考えられません。世界的にGDPが成長する中で今後も容器包装の需要は増え続けるでしょう。当初から使い捨てを想定した容器包装などに難分解性のプラスチックフィルムやシートを使用することについて見直しが必要なのかもしれません。

知らないうちに関わっている河川/海洋ごみ問題

自分は関係ないと思っていても・・・
・洗顔剤や歯磨き粉の中のスクラブ材(マイクロビーズ)。
※現在は日本国内でマイクロビーズを使用している企業はありません。
・ごみ収集日に出したごみをカラスが荒らして・・・。
・車のタイヤの粉塵が道路から川へ。
・衣服の化学繊維が洗濯をすることで自然界へと流出。
などがあります。

最近の研究では、食卓塩にマイクロプラスチックが入っているといった研究結果(Ali et.al.,2017)もあります。河川・海洋ごみといった問題に留まらず生態系や食糧問題にも直結する課題です。

自然界に出てしまったごみ、どうすればいい?

発生源対策と同時に自然界に流出してしまったごみは「早期回収」が大切。時々刻々と微細化・拡散化し、マイクロプラスチックになってしまえば事実上、全量の回収は不可能です。

荒川クリーンエイド・フォーラムでは三井物産環境基金資金サポート(2016年~2019年)、東京理科大学の協力を受け、荒川の河口域にある河川ごみが大量に漂着・堆積しているエリアにてごみの漂着・堆積メカニズムを調査・研究しています。

東京理科大と連携した調査・研究活動。漂着ごみの量をモニタリングすることでごみの堆積状況を把握。清掃イベントを誘致し、効果・効率的な回収方法を模索します。

海洋に流出しているごみの量

河川から海洋へ流出するプラスチックごみの量を推定したレポート(Laurent et al.,2017)があります。主要な排出源はアジア圏であり、世界のワースト20河川から世界全体の約7割のプラごみが流出していることが述べられています。日本国内には推定6万トンのプラごみが漂着・堆積していると言われています(環境省、2016)。海岸漂着物は外国から来るといった認識がある方も多いと思いますが、過去に遡って考えると日本も多くの海洋ごみを流出させてきたと言えます。Jambeck et al.(2015)によれば、最も多くのプラスチックごみを海洋へと流出させている国は中国(353万トン)、次いでインドネシア(129万トン)、フィリピン(75万トン)と推算されています。

プラごみのリサイクル率

-ペットボトルを例に-

ペットボトルを例にリサイクル率を考えてみます。PETボトルリサイクル推進協議会(2016)による報告では2015年度のリサイクル率は86.9%とされています(energy recoveryを含む:日本では和製英語としてサーマルリサイクル)。欧州のリサイクル率は約40%、米国は約20%ですので、かなり高い値です。日本におけるペットボトルの2015年度の生産本数は205.3億本ですので、10%がリサイクルされないとすると約20億本となります(燃えるごみとして燃やされているものも含む)

年間20億本のペットボトルがリサイクルされておらず、このうちの何%かが自然界に出るだけでも回収には大変な労力がかかります。

リサイクルもその手法によっては物性が低下することも課題の1つです。ケミカルリサイクルと言われる原料まで戻すものであれば、物性は確保されますがコストや環境負荷があがるため一長一短です。

人体への影響

マイクロプラスチックが体内に入ってしまった場合、人体に影響があるかどうかについては、まだよく分かっていません。プラスチックは強酸でも溶けず、高分子であることからそれ自体が体内に浸透するといったことはないようですが、付着している有害物質や添加剤が体内で遊離することも考えられます。別の視点からでは、サンゴ等への影響について言及する論文もあり(Hall et al.,2015)、生態系を介してジワジワと食糧問題等へと発展していくことも考えられます。

人体への影響
荒川のマイクロプラスティック。土の割合よりも多い場所がある。

誰でも簡単に始められます

根の深い河川/海洋ごみ問題ですが、ごみ拾い活動は最も身近な社会貢献活動の1つです。市民団体で、企業で、などなど当フォーラムでもお手伝いします。お気軽にお問合せ下さい。

社会貢献活動と社員交流プログラムで

手ぶらでできる社会貢献をパッケージ化しています。オプションプログラムとして生物多様性について考えるものや自然環境教室があります。 詳細

新入社員研修で

社会課題「河川ごみ」を原体験することでチームワークを醸成したり、川ごみを切口としてシステム思考を養います。 詳細

調査・研究活動をご支援ください

資金的な援助が少ない河川/海洋ごみ問題の解決に向けた調査をご支援ください。
寄付/入会についてはこちら
つながる募金(Softbankによるクレジットカードによる募金)

社会課題河川ごみとSDGs

SDGs(持続可能な開発目標)

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は日本株の3つのESG指数を選定し、同指数に連動したパッシブ運用を開始しました。環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の要素に配慮した投資は、期間が長期にわたるほどリスク調整後のリターンを改善する効果が期待されます。

河川ごみ問題は特に以下の5つに関係しています。
6.安全な水
11.住み続けられるまちづくり
12.つくる責任 使う責任
14.海の豊かさを守る
15.陸の豊かさを守る

工場や敷地回りの清掃活動が世界とつながっている!?

講師派遣を行っています

社会課題「河川/海洋ごみ」について知りたい、既に実施されている社会貢献活動にさらに意義を見出したい、そんな時は講演講師を派遣しています。

ここ最近の主な実績

・岩手県庁
・市民科学研究会/生物多様性アカデミー
・マテリアルライフ学会
・NOWPAP(北西太平洋地域海行動計画)
・Global Compact Network Japan 環境・経営部会
・Bloomberg L.P. Japan 30周年記念イベント 20×20
・(一社)プラスチック循環利用協会
・日本プラスチック工業連盟
・(公社)環境教育フォーラム(シニア自然大学)
・下水道展’17                ほか

河川/海洋ごみ問題の解決に向けて

今、河川/海洋ごみ問題の解決に向けて何が必要なのでしょうか。
荒クリ・Fでは正論よりも合理的かどうかを重視し、以下に重点を置く必要があると考えています。
なお、リサイクルプラの使用や生分解性プラについては、
現況の技術レベルでの総合的な環境負荷を考えると現状では次々善策と考えています。

  • 海外へ日本の管理システムや回収施策の技術移転(世界の海洋ごみ事情)
  • 環境負荷を抑えたごみ管理/回収システム構築への投資(逸出ごみを減らす)
  • 過剰包装の是正(使い捨てプラの削減)
  • 適切な法規制の導入をサポートする(海岸漂着物処理推進法のアップデート)
  • 持続可能な代替プラの使用(技術革新が鍵)
  • RepairやRedesign経済の構築(北欧のリペアエコノミクス)
  • ホームレス対策(根源対策の1つかもしれません)

マイクロプラスチックでアート体験!?

親子で楽しめるプランもあります。

認定NPO法人あっちこっちの作品(周 平 氏)

心にも頭にも良い親子で楽しめるプログラムです。マイクロプラスチックを素材に工作教室などご要望に応じてプログラムをアレンジします。
アート系NPOとのコラボも可能です。お問合せ下さい。

夏休みの自由研究にも最適

河川/海洋ごみ問題は夏休みの自由研究にも最適な課題と言えます。
動画素材は以下をご参照ください。(一般向けと児童向けがあります。)

その他の生物多様性保全活動についてはこちら

180DC X 荒川クリーンエイド・フォーラム 河川・海洋ごみ問題特設ページ このバナーをクリックすると180 degrees consulting Japanが制作した河川・海洋ごみ問題のページに飛びます。

参考文献

JEANクリーンアップ全国事務局(2007):クリーンアップキャンペーン2007REPORT.

Ocean Conservancy( 2009): International coastal cleanup
report 2009, Washington.

綿貫豊(2014):海鳥によるプラスチックの飲み込みとその影響、海洋と生物Vol.36-No.6、pp.596-605.

Jambeck, Jenna R., et al. (2015) :Plastic waste inputs from land into the ocean, Science 347.6223: pp.768-771.

Hall et al.(2015):Microplastic ingestion by scleractinian corals, Marine Biology,Vol.162, Issue 3, pp.725–732.

環境省(2016):海洋ごみとマイクロプラスチックに関する環境省の取組,海洋ごみシンポジウム2016資料.

山下 麗・田中 厚資・高田 秀重(2016):海洋プラスチック汚染:海洋生態系におけるプラスチックの動態と生物への影響、日本生態学会誌 Vol.66、pp.51-68.

PETボトルリサイクル推進協議会(2016):PETボトルリサイクル年次報告書2016、21P.

Ali Karami et.al (2017):The presence of microplastics in commercial salts from different countries,Sci Rep. 2017; 7: 46173.

Lebreton et.al (2017):River plastic emissions to the world’s oceans,nature comunications8,article number 15611.