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【インタビュー】学生ボランティアとの連携で活動の広がりを:明治大学

明治大学和泉ボランティアセンター副センター長(経営学部教授) 福満 正博 様
      和泉学生支援事務室(ボランティアセンター担当)柳澤 更沙 様
      政治経済学部1年 松薗 崇 様

明治大学のボランティアセンターではボランティア入門講座を開講していて、毎年受講された学生さんが、荒川クリーンエイドの活動にも参加してくれています。今回、ボランティアセンターの福満教授と柳澤さん、それに実際に活動に参加してくれた松薗君にその意義や感想を伺いました。

和泉ボランティアセンターについて教えてください。photo1mini.jpg
福満教授/和泉ボランティアセンターは明治大学の3キャンパスのボランティアセンターのうちの一つとして2008年度に正式発足し、最初の2年間は学内4つのボランティアサークル中心に活動を行っていました。
転機となったのは2009年7月に早稲田大学のWAVOCを見学したり、2010年の12月に関西の立命館大学、関西大学のボランティアセンターを見学したりして、どうあるべきかを勉強させてもらったことです。その後スタッフも増員し、ボランティアセンターとして回るようになってきたと思います。

最初に設置されたきっかけや背景は?
福満教授/私は設立時に学生の様々な問題に取り組む学生部委員会の委員で、最初から関わっていたのですが、ボランティアセンターをどう位置付けるかに時間がかかりました。これにはいろいろ考え方があって、アメリカの大学には学生の問題のすべてを対応するセンターがあります。そのようにすべきではないかという議論もありましたが、やはり、それぞれのキャンパスの特色をもってボランティアセンターを運営することになりました。私自身はボランティアが大事だ、との思いでここまで続けてきました。

現在の役割、大学としての機能としてはいかがでしょう。
photo2mini.jpg福満教授/大学としては、毎年年次計画書というのを出していまして、そこに学長方針というのが出ています。その中でボランティアセンターの充実と定着化というのは相当の分量を割いて、大学としても重要なものと位置付けています。特に2011年3月の東日本大震災の時は、学長をはじめとする中心メンバーもボランティアが大事だと考えて、特別に東北まで行く支援活動を始めました。
柳澤さん/ボランティアセンターの機能の一つには社会貢献的な役割があると思います。大学のある近隣の地域をはじめ、東日本大震災の地域など、ボランティアに対する要望が寄せられていますので、それに大学として応えていかなければならないと思います。もう一つは、大学なので教育的な役割も大きいと思います。外に出ていろいろな人とかかわることで、授業では学べないことが学べると思います。そこに大きな役割があります。

松薗君たち「くれぱす」(大学公認の環境ボランティアサークル)との関係はどんな感じでしょうか?
photo3mini.jpg柳澤さん/くれぱすはサークルなので、基本的には独自に活動しているのですが、ボランティアセンターとは密な関係にあります。広報面や備品、場所の使用など協力できるところは協力したり、日々の活動について相談に乗ったりしています。荒川クリーンエイドさんへの寄附のことも、最初は「学園祭での売り上げをどこかへ寄付したいが寄附先をどう探したらいいか」という相談が学生から上がってきたことがきっかけでした。他のボランティアサークルで実際に学外の団体へ寄附しているサークルがあったのでその学生につないだり、私たちと学生同士でいろんなやり取りをしたりする中で決まっていきました。

ありがとうございます。そこまでしていただくと、我々としてもちゃんとしなければと力が入りますね。
ところで、柳澤さんが担当されている領域はどのようなものでしょうか?

柳澤さん/一番大きな役割は学生からいろいろ相談を受けて、それを学生やサークル、学外の団体へつないだり、紹介したり、協力したりというものです。あとは地域からもいろんな情報が寄せられるので、それを適宜整理して掲示し、案内しています。また、ボランティア活動を広めるため、講座や報告会など、イベントを企画して行うこともあります。

センター長は福満教授という事でよろしいのでしょうか?
福満教授/和泉キャンパスではそうですが、全体では学生部長です。
柳澤さん/各キャンパスにそれぞれ副センター長がいて、和泉キャンパスでは福満教授が副センター長です。

松薗君、大学・専攻の志望動機を教えてもらえますか?
photo4mini.jpg松薗君/中学の時から社会や経済のことに興味があって、学校に新聞を持ち込んで読んでいるくらい変わっていました。高校の初めからエコ検定を通して環境のことに興味を持ち始めて、そこから将来そういう活動をしていきたい、職業につきたいと考えました。大学に入るころには経済にも興味があって、その両方が学べるのがいいなと考えて環境経済学のある大学を探して、その中で明治大学が雰囲気も良かったので志望しました。

ボランティアセンターとの関わりはいかがでしょうか?
松薗君/くれぱすに入って、ゴミ拾いした時がボランティアセンターに来た最初でした。
それから活動を通していろいろ相談に乗ってもらったりして、だんだんここにも親しくなっていきました。

ボランティア入門講座を取ったきっかけは?
松薗君/くれぱすの活動はゴミ拾いやECOども(環境教育)を除いて学内が中心で、あまり外に出ていく機会がないんです。やはり自分が外に出ていきたいという気持ちがあって、授業などでそういう機会がないかと探していたら、この講座に巡り合いました。

ボランティア入門講座の目的・概要は?
福満教授/ボランティアの基礎知識を学び、学内のボランティア活動やいろんなジャンルのNPO団体の活動内容を知り、実際にボランティアを体験して、ふりかえりを行うというものです。

その中で環境ボランティアの位置づけは?
福満教授/環境保全やそのボランティア活動は広く社会に重要性を認められていますので、柱として外せません。

外部講師への期待は?
福満教授/外部講師の講義に目を開かされる学生は多いです。
柳澤さん/現場の生の声を伝えていただけるのは学生にとって刺激が多いといつも感じます。

荒川クリーンエイドの講義についてはどうですか?
柳澤さん/受講生の中に中学校や高校の奉仕の時間に清掃活動をやったという学生がいました。その時を思い出すとビニールゴミが多かったようですが、糸岡さんの話を聞いてペットボトルが増えているのがわかり、この数年間での変化が印象的だったという声がありました。また、留学生もこの授業を受講しているのですが、日本は街にあまりゴミが落ちておらずきれいなイメージがあったのに、授業で川に大量のゴミがある写真を見て驚いた、不思議に思ったという感想もありました。
あと、ちょっとなら大丈夫だと、自分でもポイ捨てしていたけど、そのちょっとの積み重ねが大変なことになるという事に気づき、自分の意識を変えていかなければいけないと考える学生もいました。ボランティアに参加したほとんどの学生から、行って良かった、きれいになって気持ちよかった、大変だったけど意味があったという声が出ています。

松薗君、授業を受けてみて当初の期待はどのようなものがありましたか?
photo5mini.jpg松薗君/やはり授業の時にインパクトを受けて、熱意を感じて、現場に行ったら頑張れるんだろうなと思いました。それで荒川クリーンエイドに行くことにしました。

参加しての感想は?
松薗君/ヨシに分け入る感じでゴミを拾っていったんですが、やっぱりゴミが一面にびっしりと足の踏み場もないほど落ちているところもあって、驚きました。

今後の大学生活の中で活きるとしたら、どんなところですか?
松薗君/ゴミがいっぱいあったことで、ポイ捨てしたくないという意識が強くなりました。また、荒川クリーンエイドはゴミの状況をデータ化して発信するということをやっているので、くれぱすでもそういう情報発信を強化していきたいと思いました。

松薗君のコメントを受けてボランティアセンターさんのご感想は?
柳澤さん/くれぱすのメンバーでもある松薗君が、授業を受けて荒川クリーンエイドにも参加してくれたことは、すごく良かったと思います。くれぱすで集まって毎週ゴミ拾いをすることだけでもすごいことですが、活動する中でだんだんと、なぜまたゴミが発生するのか疑問を持つようになります。でも、学生たちだけでは解決に向けた具体的なアイディアが出なかったり、どう実行に移すかが課題となったりします。荒川クリーンエイドさんを含めて、情報発信や情報収集など取り組みを工夫されているNPOさんがたくさんあるので、そういうところに出て行って、それを学ぶことで、学生の活動にさらに深みが出ると思います。また今回、他のくれぱすのメンバーも松園君と一緒に活動に参加してくれました。そうやってくれぱすの活動にも広がりが出ますし、糸岡さんをはじめ団体の方や生の現場を見ることは、松薗君の将来にも意味があったんじゃないかと感じています。

大学のボランティアセンターとしてNPOとのコミュニケーションで大事なことは?
photo6mini.jpg柳澤さん/特に和泉キャンパスの学生は1、2年生が大半なので、学生同士で関わることは多くても、社会とかかわる機会は少ないようです。なので、学生に対して団体を紹介したり送り出したりする前に”ボランティア”と言っても、時間の感覚や、責任感を持つ事などを、しっかり伝えるなど、問題に真剣に取り組んでおられるNPOの方々に失礼のないよう気をつけています。それでも何かトラブルがあった際にはお互い遠慮なく伝えられるように、なるべくお会いするなど、関係性を築いておくことにも配慮しています。

今後ACFに望むことは、提言がありましたらお伝えください。
柳澤さん/荒川はここから少し距離があるので、いろんな地域展開をされる中で、多摩川とか、東京の西側にも広がりが出ると、学生がより参加しやすくなるのではと思います。
松薗君/荒川がもう少し近くにあれば何度でも参加したいと思いました。

今後、他の河川にも広げていけるように尽力したいと思います。
今日はどうもありがとうございました。

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左から)福満教授、松薗様、柳澤様

くれぱす(明治大学公認環境ボランティアサークル)http://www.geocities.jp/clepasu/