現代の便利な生活に欠くことのできないプラスチック。
上手に付き合うには、「まずその特性を知る必要があるのでは!?」ということで、
東京海洋大学名誉教授の兼廣春之先生に講師をお願いして行ってきた本学習会も5回目を向かえました。
日時:2018年2月2日(金)18:30~20:30 会場:タワーホール船堀 403室 講師:東京海洋大学 兼廣春之名誉教授 参加者:17名 |
今回のテーマは「生物模倣」と「銀化ビン」。
生物の不思議な生態を模した技術の紹介と、ごみとして自然界に流出したびんが、長い年月をかけ煌きを放つびんになるお話しです。
まずは「生物模倣」。
長い年月を経て進化した生物は優れた機能や体構造を持っています。
これらを模倣し、技術開発やものづくりに生かすことを生物模倣(バイオミメティクス)と呼びます。
ネット情報では、
イモリの指に生えている繊毛にヒントを得たヤモリテープ、蚊の針に学んだ極細の痛くない注射針、ハスの葉の超撥水性を応用した塗料、かたつむりの殻のように汚れがつきにくいタイル、蛾の眼(モスアイ)を模倣し光を反射しない微細構造を持たせたフィルム、マグロの皮膚にヒントを得た水の抵抗を小さくできる塗料・・・数え上げればキリがないようです。
そして今回、兼廣先生から詳しく教えて頂いたのは「モルフォテックス」。
アマゾン河流域を生息地とするモルフォ蝶 はメタリックブルーに輝く羽を持ち「世界で もっとも美しい蝶」と呼ばれていますが、その羽根の複雑な構造が、
ある波長の光だけを反射させて鮮やかな青色を見せているそうです。
それを合成繊維で再現したのが、帝人の「モルフォテックス」。環境負荷の高い染料を使用することなく綺麗な色を表現できるエコな素材です。
つづいて「銀化ビン」。
これは本当に不思議な現象で、そのメカニズムはまだ正確には解明されていないそうです。
海底の砂泥の中に30年~50年ほど埋まっていることで煌く銀化ビンになると考えらていますが、兼廣先生はバイオフィルムが影響しているのではないかと考えておられるようです。
※バイオフィルム、菌膜(きんまく、Biofilm):微生物により形成される構造体。
今回、兼廣先生が知人から譲り受けた実物を披露してくださいました。
参加者全員が本物を見るのは初めてで、下世話な話しとなりますが、特にローマンガラスと呼ばれるローマ時代のものはネット上では高額な金額でやり取りされています(笑)
今回はこれまでのプラスチックの特性にスポットを当てた内容とは少し趣が違いました。
はじめは少し戸惑った様子の参加者もおられましたが、最後は先生との活発な質疑応答となりました。
現時点ではまだ、次回の開催スケジュールやテーマは決まっていませんが、仕事終わりの貴重な時間を有意義に活用することを主眼とした本学習会、次回もお楽しみに!!