【助成事業報告】街なかのごみ定量評価と河川/海洋への流出抑制に向けた社会実装に関する取組活動レポート

【助成事業報告】街なかのごみ定量評価と河川/海洋への流出抑制に向けた社会実装に関する取組

助成期間
2021年4月-2022年3月

目的
海洋ごみの6-9割(個数比)は街ごみ由来といった報告がある。河川/海洋ごみの削減に向け、
これまで定量的な評価がされてこなかった”街なかの植栽”にスポットを当てた現地調査・分析を実施する。
→これらのごみの適切な管理手法について当該調査結果をもとに自治体等に街ごみの効率的な回収手法を提案するとともに、
SNS等で事例発信する。

見込まれる効果
これまで街なかの植栽中に投棄されるごみを定量的に評価しようとする事例はほぼみられず、一見してごみの少ないと思われている国内の街なかの投棄ごみの実態が把握される。

活動内容
1.周辺の土地利用と植栽中のごみの種類と量を国際海岸ごみ調査(ICC)で調べる
→コドラート調査→航空写真で植栽面積から総量を推算する。

2.植栽の手入れの際、人工系ごみは処理費用の関係で業者に放置されるパターンがある
植栽の生木と人工系ごみを同時回収/処理できる委託費の積算について協議する(自治体等と連携→社会実装)。

3.(株)ピリカと植栽沿いのごみについてアプリ「タカノメ」で画像解析する
ヒートマップ(ごみが多いほど濃色表示)で出力する。
また、マイクロプラを組成分析し、由来を調べる(例:レジ袋由来等)


マイクロプラスチックの目視抽出


サンプル


結果

▼周辺の土地利用と植栽中のごみの種類と量
設定エリアを対象に植え込み内(約8㎡)の人工系ごみを全量回収し、
種類と量を計測した。
11月期調査:108.1(g/㎡)
3月期調査:32.6(g/㎡)
→全量回収後、4ヶ月で1/3程度のごみが再びたまる。

植栽中に50cm×50cmのコドラート(n=21)を設定し、
目視できる表層の人工系ごみを全量回収した結果、
平均109.1±90.5(g/㎡)、最大値356.8(g/㎡)、中央値113.6(g/㎡)、最小値4.0(g/㎡)のごみがたまっていた。

調査したルートの植栽面積全体では平均
京葉道路沿い(200.2㎡)*→ 21.8kg
船堀街道沿い(481.8㎡)*→ 43.6kg
となった。
*面積はGoogle Earth Proの面積計測ツールを用いた


コドラート(n=14)による調査にて分類した街ごみ。
河川ごみを分類した結果と比較(例えば2015年河川ごみランキング)すると
・嗜好品系のごみの量が卓越している
・容器包装プラスチックが少ないこと
が分かった。

街、川、海のごみのつながりについては街から川への流入経路について分析が必要であると言える。

▼植栽中から採取したマイクロプラスチックの分析

植栽中から採取したマイクロプラスチック
分析の結果、成分はポリプロピレン(PP)とみられる。

植栽中から採取したマイクロプラスチックと思われる粒子80粒のうち特定できたもの45粒の成分割合を調べた。
PE、PP、PSの順に多いという結果であった。
Othersはacrylonitrile butadiene styrene、polyoxymethylene、Nylon、PUが
1粒子ずつであった。

▼「タカノメ」の画像解析を活用した植栽沿いのごみ量の把握

ヒートマップによるごみ量の表示:京葉道路沿い

ヒートマップによるごみ量の表示:船堀街道沿い


まとめ

・当該結果を活用し、自治体へ植栽内に人工系ごみが多くあることを認識してもらう
・植栽管理(刈込)の際に人工系ごみの回収費用も考慮した業務委託を検討してもらう

今後の展開
今後は以下の活動を展開する予定である
プラスチックの製造企業を対象としたフィールドワークを展開する際、
当該結果についても共有する。

助成
本事業はエフピコ環境基金の支援を受けて実施しました。