ナガエツルノゲイトウ調べる・知る・学ぶ

皆さんこんにちは、あかぎです。
荒川に、最近侵入してきた特定外来生物。
ナガエツルノゲイトウ。
南米原産の多年草。その繁殖力は極めて凄まじく、「最悪の侵略的植物」と表現されることもあります。

今回の案内人

あかぎ – コードネーム【クジラくん】

プロフィール

  • 東京海洋大学卒業。在学時は鯨類学研究室にてクジラについて学ぶ。
  • 趣味
    • 水族館・海獣スポット(カフェ、海獣をモチーフとする画家・作家・写真家等の個展)めぐり
    • 海獣グッズ収集-結果ペンギングッズが一番多かった(?)
    • 海獣に興味があることに関連して、河川/海洋ごみ問題に取り組み中。
案内人のあかぎ(コードネーム【クジラくん】)

おそるべしナガエツルノゲイトウ

ナガエツルノゲイトウの学名は「Alternanthera philoxeroides」。
英名は「Alligator weed」。




〇生育場所
水路、河川、ため池、水田、畦畔(あぜ)、畑などで生育し、特に日当たりの良い水辺では大群落となります。

〇見分け方
【葉】節から1対の葉が付く、葉の先がややとがる。
【茎】茎は空洞(ストロー状)、節に短い毛が生える、茎の表面はなめらか。
【花】花柄は葉のわきから伸びる、花柄の長さは約1~4cm、花は小さな花が集まった球状。



〇水田や畦畔などにみられる間違えやすい植物

ツルノゲイトウ(外来種)
・球状花は葉の脇にくっつく
※花のない時期は見分けが困難

アメリカタカサブロウ(外来種)
・葉の鋸歯は明瞭
・花は球状でなく平たい

タカサブロウ(在来種)
・葉の鋸歯は不明瞭
・花は球状でなく平たい

スベリヒユ(在来種)
・葉の先は丸い
・葉は互生(交互につく)
・花は黄色

シロツメクサ(外来種)
・葉は3小葉
・葉に白い紋
・球状花の直径は2㎝


〇生態系や農業への悪影響のおそれがあり、「特定外来生物」に指定されています。

「特定外来生物」とは? (参考サイト https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/outline.html
外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定される生物のことです。

特定外来生物に指定されたものは以下の項目について規制されます↓
飼育・栽培、運搬(生きたまま移動させる)、保管、輸入、野外へ放つ・植える・まく、許可を受けていない者に対しての譲渡
(規制項目 https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/regulation.html

規制に違反すると、懲役や罰金が科されます。
(日本の外来種対策 https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/bassoku.html)。




ナガエツルノゲイトウの生態がやばい


〇拡大力、再生力が非常に強い
・茎は1m以上も伸び、枝分かれも盛んなため、放置すると群落が短期間で拡大。
・根が残るとそこから再生するため、根も除去することが重要。
・根や茎の断片からも植物体が再生。

〇拡散力が高い
・茎は千切れやすく水に浮くため、断片が水流によって運ばれ、新たな地で定着・再生。
・千切れやすいため、大雨時の増水や水流によって、広範囲に拡散する可能性。
・生育が確認された場合は、その水系の上流又は下流に、未発見の生育地が存在する可能性。
・種子は作らないため、植物体断片を回収すれば生育域の拡大を阻止することが可能。


駆除方法


〇抜き取り・剥ぎ取りによる駆除方法(水路・河川等)
駆除対象の群落規模や現場条件に応じて 人力または重機での抜き取り・剥ぎ取りを検討
【群落が小さい場合】人力による駆除
→ 注意点 :労力がかかる 。地下部ごと除去しないと再繁茂の恐れあり。
【群落が大きい場合】重機による駆除
→注意点:隙間など細部を除去することが難しい。選択的な除去が難しく、希少な在来の植物も同時に除去してしまう恐れあり。

〇陽熱処理による駆除試験事例
※本駆除方法は現在試験中のものです。現場で実際に実施できるよう、作業内容などを検討中です。
陽熱処理とは
・夏季、土壌に十分なかん水(水やり)を行った後、ビニール等で土壌表面を被覆し、高温多湿かつ還元状態を維持することで、土壌中の病害虫を死滅させる技術
・この技術を応用して、大量のナガエツルノゲイトウを泥土ごと処分することが可能

〇除草剤を使った防除(本田・畦畔)
・除草剤はラベルの表示を事前にしっかりと確認(適用場所、使用量、散布回数等)
・水系に流出するおそれのある場所では使用しない(河川敷や水路など)




分かったこと

  • ・ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されている
  • ・見分けが難しい種類がいる
  • ・駆除をする時は、拡散や再生をしないように気をつける

本稿は環境省令和の里海づくりモデル事業およびBloomberg L.P.と協働するWetland Project の一環で執筆しました。

参考:
環境省令和の里海づくりモデル事業
「ナガエツルノゲイトウ駆除マニュアル」 農林水産省、環境省、農業・食品産業技術総合研究機構
「農業水利施設を介し拡がる侵略的外来水草ナガエツルノゲイトウの防除と対策」 農研機構 農村工学研究部門 上席研究員 嶺田