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三井物産環境基金支援事業

ストップ!プラごみ 海へ出る前に-荒川発!プラスチックごみ対策-

【背景および課題の整理】

世界中から海へ流れ出るプラごみは推計で800万トン(中間値)(Science,2015)。近年、海洋プラごみは世界的な課題の1つとして取り上げられ、サミットの首脳宣言には海洋に流出するプラごみの発生抑制や削減が謳われている。自然界に流出したプラごみは紫外線や摩擦などにより、時々刻々と微細化する。大きさ5mm以下のプラごみの総称は”マイクロプラスチック”と呼ばれ、その表面積は莫大なものになる。微細化したプラごみの表面にはポリ塩化ビフェニル(PCBs)等の有害化学物質が付着し、誤飲・誤食などにより生物の体内に取り込まれる。東京農工大学の高田教授の調査によれば、東京湾で採れたカタクチイワシの8割からマイクロプラが検出されており、生態系のみならずこれらを食べた人にも将来的な健康被害が生じる可能性が指摘されている。
生態系に入り込んだマイクロプラの影響に関する研究事例は少なく、非常にゆっくりと影響が生じた場合、結果として分からないままとなるだろう。 これらの課題は近年徐々に明らかになってきたが、市民活動レベルでの課題解決手法に至っては未だ具体策は得られていない。

荒川クリーンエイドでは、1994年から25年以上、荒川のごみを調査しながら回収している。20年間に渡る調査結果より、容器包装などのプラごみが多くの割合を占めることが明らかとなった。毎年、河川ごみを回収しても、街中からとめどなくごみが供給され続けている。当団体ではその中でも、急増するプラごみを”早期”かつ、”効率的”に回収することを優先度の高い目標と捉えている。流出してしまった人工系ごみを早期回収し、マイクロプラになるのを抑制する。

【活動の目的】

モニタリングによってプラスチックごみの滞留状況と潮汐(潮位)の関係について調べ、回収後にどの程度で再滞留するのか等のメカニズムを分析し、効率的な回収手法、タイミングの確立を目的とする。 小流域あたりの人工系ごみの流出量を調べる 業界団体である日本プラスチック工業連盟等と協調し、市民ととともにプラスチックごみの課題について共有する。

【助成期間内の目標】

  • ・プラスチックごみの効率的な回収手法の確立。
  • ・荒川から海洋へと流出するプラスチックごみを削減・抑制する。

【長期目標】

  • 当該活動による調査・分析結果を発信し、各河川が抱えるプラごみ問題の解決の糸口として活用してもらう。
  • 河川管理上の基礎データとして、行政機関等と共有する。

▼結果概要

当該事業は代表的な結果を以下に整理した。なお詳細については当団体の報告集に掲載している。

河口エリア

荒川の流域人口1,000万人が排出する河川ごみを回収できる最後の砦。

河口エリア
  • 当該エリアに流入する河川ごみの量は流出量より1桁~2桁大きい。
  • 潮が満潮から干潮に変わる際に上流端開口部から多くの河川ごみが流入する。
  • 詳細は片岡ら(2017)の論文参照。

下流エリア

人工構造物が偶然河川ごみのたまりやすい環境を作り出している。

下流エリア
  • 流速の遅い陸側に河川ごみが滞留⇒橋脚付近の流れ場で陸側に寄せられる。
  • 足場の鋼管に支えられたヨシ群落が導入路をつくり、北風に寄せられる。

排水ポンプ場

流域人口が分かっている支川にて、本川とつなぐがる排水ポンプ場を対象に、トラップされる河川ごみの量を調べる。 単位人口当たりが排出する河川ごみの量を推定するのに用いる。 行政と連携して実施している。

排水ポンプ場
  • 河川ごみの構成比は・・・
  • 流域人口あたりの河川ごみの量は・・・
本事業は三井物産環境基金の支援(2016-2019)を受けて実施しました。 案件担当者:今村かずゆき

■発生源対策に関する考え方
限界効用逓減の法則*に照らし合わせると、河川/海洋に流出するごみを完全に0にするのは難しい。厳正な管理をしても自然界に出てしまうごみは確率論的に必ず一定量存在する(人口比率)。当該事業は自然界に出てしまったごみを如何に効率的に回収するかに焦点をあてたものである。もちろん、発生源対策において、過剰包装など本当に必要のない使い捨てプラの利用削減の方が優先度が高い。
*単位量当たりの財(モノやサービス)の投入によって得られる効果。次第に減少する。

参考

日本財団とコカ・コーラも類似の調査を実施しているようです。

こちらより(コカ・コーラ)

荒川いきもの図鑑