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[問題]毎日欠かさずプラ、食べてますか?

・・・正解は・・・ 「YES !」

は??となりますよね。「マイクロプラスチック」って聞いたことありませんか???

 ☑ 「マイクロプラスチック」って何!?

 ☑ 「マイクロプラスチック」 VS. 「荒川クリーンエイド・フォーラム」



Q:「マイクロプラスチック」(以下「MP」)って何!?
A:「直径5mm以下」のプラスチックの総称です

プラスチックは身の回りにあふれています。

プラスチックには「軽い」「丈夫」「加工しやすい」など、その他の素材(紙・木材・金属など)にはない優れた性質がたくさんあります。
今では私たちの生活になくてはならない素材と言えます。

しかし、この優れた素材であるプラスチック、時間の経過とともに必ず劣化します。
そして、どんどん細分化していきます。どのような大きさのプラスチックも、最終的には小さなMPになってしまうのです(※焼却処分しない限り・・・)。例えば、プラスチックの洗濯バサミはしばらく使うと割れますが、そのときに小さな粉や破片が出ると思います。それがMPです。

なお、直径が5mmより大きいものは「マクロプラスチック」と呼ばれます。

POINT:プラスチックは、劣化によってMPになる


Q:MPはどこにありますか?
A:世界中、どこにでもあります。土の中、大気中、深海の底、人の中にも・・・

プラスチックは「丈夫」です。

劣化によって小さくなりますが、どれだけ小さくなってもプラスチックであることをやめません。大きなプラスチック(マクロプラスチック)が小さなプラスチック(MP)になるだけなのです。紙や木材のように微生物に分解されて自然に還るには途方もない時間が必要です。最終的には人間に見えないレベルまで小さくなっていきます。

小さくて軽いMPは、風や水によって世界中のどんな場所にも運ばれます。いまやエベレストの山頂からマリアナ海溝の深海、生物の体内にも存在しているのです(もちろん我々の体内にも)。プラスチックの生産量は今後も増え続けるので(下図)、MPの自然界への影響はますます大きくなっていきます。

POINT:プラスチックは、どれだけ小さくなってもプラスチックのまま


Q:MPは生物や人間にどのような影響を与えますか?
A:自然界にとっての「異物」であるプラスチックは、自然界のバランスを壊す可能性があります

人間が創るまで、自然界にはプラスチックは(ほとんど)存在しませんでした。(※)

そのため、人が作るプラスチックを再び自然へ還すための仕組みが備わっておらず、分解にはとても長い時間が必要です(「難分解」といいます)。少なくとも、これからの日本人の平均寿命といわれる「100年」では自然に還りません(中嶋,2019)。

自然界は食物連鎖によって成り立っていますが、そのバランスはとても繊細で壊れやすいものです。大量に自然界に出続けているプラスチックは「異物」であり、そして蓄積し続けます。いま、プラスチックという「異物」は自然界のバランスを壊そうとしています。

(※)ミツバチが作る蜜蝋(ミツロウ)や琥珀(コハク)など、自然界にもプラスチックと呼べるものが存在します


① 生物への影響

大小様々な生物がプラスチックを誤飲・誤食しています。

釣り針が絡まった海鳥や、プラスチックをエサと間違えて食べてしまうウミガメやクジラが話題になりますが、海鳥の9割、そして200種以上の海洋生物がブラスチックごみを誤って食べているといわれています(高田ら,2019)。

われわれ人間はプラスチックを食べものと間違えることはなかなかありません。小さな破片であっても口に入れば違和感とともに吐き出すことができます。しかし、いくらかの生物はそれができません。

POINT:多くの生き物が、プラスチックをエサと間違えて食べてしまう

(参考) 『海中のプラスチックバッグ、空腹のウミガメには餌と同じにおいか』(CNN,2020/03/11)



② 人間への影響

私たちが口にする多くの飲食物からもMPが検出されています。

人間も魚介類などを経由してプラスチックを口にしています。目に見えないような小さなMPに気づくことはできません。

MPを摂取しても人体には吸収されずに排出されるため、現状では健康への大きな影響はないと言われています。しかし、プラスチックは水中の化学汚染物質を吸着する性質があるため、人間はMPと一緒に汚染物質を体内に取り込んでいる可能性があります。MPを摂取することによる健康への害についてはまだ不明な点も多く、研究が進められています(堅達,2020)。

たとえ「健康リスクは(今のところ)ありません」と言われても、プラスチックが入った食べものは口にしたくないですよね・・・

POINT:人間もMPを食べている(健康への影響は不明確)

(参考) 『体内へのプラスチック摂取、1週間にクレジットカード1枚分 研究結果』(AFP通信,2019/06/12)



ここまで「MP」について紹介しましたが・・・


荒川クリーンエイド・フォーラム」(以下「ACF」)は、
MP問題にどう立ち向かっているのでしょうか?


Q:「荒川クリーンエイド」ってなんですか?
A:荒川のごみを、海へ流れてしまう前に回収する活動です!

ACFの活動の中心は、その名の通り「荒川のクリーンエイド」です。
ざっくり言えば「川岸の清掃」です。

埼玉県と東京都を流れる荒川の流域には約1,000万人が住んでいます。

海に流れ込むごみのほとんどは、陸での人の活動から発生すると言われています。1,000万人のうちのほんの数%の人がうっかり、または故意に捨てたごみが、各地域の水路や荒川を通り、最終的に東京湾(太平洋)へ流れ込んでいる場合もあります。

海はとてつもなく大きく広いです。
小さなごみが大海に流れ込んでしまえば、それを回収することはほとんど不可能です
ACFでは河川のクリーンエイドという方法によって、ごみが海に入ってしまう前に回収しているのです。

POINT:「荒川クリーンエイド」は大海へ流れる前にごみを回収しています


Q:河川のクリーンエイドはMP問題にどのような効果がありますか?
A:① MPになる前にプラスチックごみを回収できます
  ② 参加者の変化が大きな力に変わっていく


① MPになる前にプラごみを回収

クリーンエイドの参加者はペットボトルなどのごみを拾いながら、砂や小石に混じった色とりどりのMPの存在に気がつきます。そしてMPを回収することの難しさにも気づきます。

MPはとても小さく、劣化によってボロボロと崩れてしまうものも多いからです。

プラスチックごみを放置すれば、必ずMPになります。
そして、最後は人の目に見えないレベルまで小さくなります。
この状態になればもはや回収などできません。人が拾える段階で回収するしかないのです。

数十~数百人での大規模なクリーンエイドを何度行っても、荒川の川岸にはあっという間に大量のごみが溜まりますが、ここで回収できた分だけ海へ流れ込むMPを減らすことができます

しかし、川岸に打ち上げられたごみは氷山の一角に過ぎません。ACFの清掃活動で回収するよりも、はるかに多い量が太平洋へ流れ込んでいます。残念ながら、クリーンエイドだけではMP問題を解決できないのです…(泣)

POINT:プラスチックごみは、MPになる前に回収できるかどうかが勝負


② 参加者の変化が大きな力に

2010年には、「約480~1270万トン」のプラごみが海洋へ流出したとみられています(Jambeckら,2015)。このままのペースでプラスチックの生産と海洋への流出が続けば、2050年までに海洋中のプラスチックの重量が魚の総重量を超えるという報告もあります(Ellen MacArthur Foundation,2016)。

「百聞は一見にしかず」

クリーンエイドの参加者は大量のごみを目の前にして呆然とします。そして、(楽しみながらも)大変な思いをしてごみを拾い続けます。そして、ボロボロと崩れて拾えないMPと格闘しながら、プラスチックによる海洋汚染の深刻さを体感します。

MPの問題は河川のクリーンエイドだけでは解決できないことは事実です。
しかし、クリーンエイドに参加する皆様のMP問題に対する意識が変わり、その意識の変化は日常生活や仕事の場へと拡がっていきます。この変化こそが、クリーンエイドのMP問題に対する最大の効果なのです。

POINT:参加者の変化こそが、MP問題に対する最高の力となる


Q:最後に、ACFの目標を教えてください
A:① クリーンエイドを通して、ひとりでも多くの人にMP問題を知ってもらうことです
 ② 荒川の活動モデルを日本全国・世界中に拡げていくことです


上に書いたとおり、MP問題の解決のためにはひとりでも多くの人に問題の現状と深刻さを知ってもらい、そのうちのひとりでも多くの人が日常生活や仕事の場で行動を起こすことが大きな力となります。

MP問題の深刻さを目で見て体感できるクリーンエイドという方法は、参加者にMP問題を自分の問題として感じてもらえるインパクトを持っています。私たちは、荒川を中心としたクリーンエイドにさらに多くの人に参加してもらい、MP問題の解決を目指す仲間を増やしていきたいと考えています。
(※年間:約150会場・延べ約1.3万人が参加)


☆ ACFスタッフ一同からひと言・・・

MPの問題は荒川のクリーンエイドだけでは解決できません。

海は世界中とつながっています。河川のクリーンエイドが地球規模でのMP問題解決に力を発揮するためには、世界中の河川でクリーンエイドが行われなければなりません。

ACFでは、荒川を中心とした活動をモデルとして、日本全国そして世界中にこのモデルを拡げていくことを目指しています。そして、MP問題解決を目指す世界中の仲間と連携していきます。

プラスチックごみの削減(予防)河川の清掃活動など(治療)が徹底されて、河川からごみがなくなればACFは不要です。最終的な目標は「解散」です。

増え続ける大量のごみを目にしていると、解散にはまだ時間がかかりそうですが…(泣)


文責:寺町(ACF事業部)


[参考・引用元]
『プラスチックの現実と未来へのアイデア』東京書籍,高田秀重監修,2019
『海洋プラスチック汚染』岩波書店,中嶋亮太著,2019
『脱プラスチックへの挑戦 持続可能な地球と世界ビジネスの潮流』山と渓谷社,堅達京子ら,2020
[参考文献]
Jambeckら,「plastic waste inputs from land into the ocean」science (2015)
Ellen MacArthur Foundation「The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics」(2016)

三井物産環境基金支援事業(1.2016年10月~2019年9月)(2.2020年4月~2022年3月)

本事業は三井物産環境基金の支援を受けて実施しました。
ストップ!プラごみ 海へ出る前に(三井物産環境基金のサイトへ)
都市河川荒川から探る海洋ごみ削減方策検討プロジェクト(三井物産環境基金のサイト準備中)

都市河川荒川から探る海洋ごみ削減方策検討プロジェクト

【背景および課題の整理】

人工系ごみ(主としてプラスチック)が生態系、食糧問題、水、持続可能な消費と生産などにおいて、多面的な問題を引き起こす可能性が懸念されている。
海洋ごみの9割はアジア圏を中心とする途上国の10河川から流出していると言われており、より深刻な被害をもたらす前に早期解決する必要がある。
特にプラスチックごみは時々刻々とマイクロプラスチック化することから将来の海洋資源への影響を最低限とするためにも早期に課題解決に向けて着手しなければならない。
その一方、単位人口当たりから生じる河川ごみ量は欧米のデータが軸となっており、国内のデータが必要と考えられる。 日本国内でも沿川の人口が屈指である荒川を対象として、河川ごみの発生量やその発生抑制について検討する。
※当該事業内には非公開の活動項目もある。

【活動の目的】

Jambeckらによれば、日本国内の海洋ごみ発生量は2-6万トンと推計され、一般に浸透しつつある。
日本国内のプラスチックの年間生産量は900万トンであるのでその内の2-7%となるが、その推計手法に疑問を唱える国内関係者は多い。
国内屈指の沿川人口を誇る荒川支川にて単位人口あたりの河川ごみ発生量を把握し、検証する必要がある。

▼結果概要

調査結果を随時掲載する。


ストップ!プラごみ 海へ出る前に
~荒川発!プラごみ対策~

【背景および課題の整理】

世界中から海へ流れ出るプラごみは推計で800万トン(中間値)(Science,2015)。近年、海洋プラごみは世界的な課題の1つとして取り上げられ、サミットの首脳宣言には海洋に流出するプラごみの発生抑制や削減が謳われている。自然界に流出したプラごみは紫外線や摩擦などにより、時々刻々と微細化する。大きさ5mm以下のプラごみの総称は”マイクロプラスチック”と呼ばれ、その表面積は莫大なものになる。微細化したプラごみの表面にはポリ塩化ビフェニル(PCBs)等の有害化学物質が付着し、誤飲・誤食などにより生物の体内に取り込まれる。東京農工大学の高田教授の調査によれば、東京湾で採れたカタクチイワシの8割からマイクロプラが検出されており、生態系のみならずこれらを食べた人にも将来的な健康被害が生じる可能性が指摘されている。
生態系に入り込んだマイクロプラの影響に関する研究事例は少なく、非常にゆっくりと影響が生じた場合、結果として分からないままとなるだろう。 これらの課題は近年徐々に明らかになってきたが、市民活動レベルでの課題解決手法に至っては未だ具体策は得られていない。

荒川クリーンエイドでは、1994年から25年以上、荒川のごみを調査しながら回収している。20年間に渡る調査結果より、容器包装などのプラごみが多くの割合を占めることが明らかとなった。毎年、河川ごみを回収しても、街中からとめどなくごみが供給され続けている。当団体ではその中でも、急増するプラごみを”早期”かつ、”効率的”に回収することを優先度の高い目標と捉えている。流出してしまった人工系ごみを早期回収し、マイクロプラになるのを抑制する。

【活動の目的】

モニタリングによってプラスチックごみの滞留状況と潮汐(潮位)の関係について調べ、回収後にどの程度で再滞留するのか等のメカニズムを分析し、効率的な回収手法、タイミングの確立を目的とする。 小流域あたりの人工系ごみの流出量を調べる 業界団体である日本プラスチック工業連盟等と協調し、市民ととともにプラスチックごみの課題について共有する。

【助成期間内の目標】

  • ・プラスチックごみの効率的な回収手法の確立。
  • ・荒川から海洋へと流出するプラスチックごみを削減・抑制する。

【長期目標】

  • 当該活動による調査・分析結果を発信し、各河川が抱えるプラごみ問題の解決の糸口として活用してもらう。
  • 河川管理上の基礎データとして、行政機関等と共有する。

▼結果概要

当該事業は代表的な結果を以下に整理した。なお詳細については当団体の報告集に掲載している。

河口エリア

荒川の流域人口1,000万人が排出する河川ごみを回収できる最後の砦。

河口エリア
  • 当該エリアに流入する河川ごみの量は流出量より1桁~2桁大きい。
  • 潮が満潮から干潮に変わる際に上流端開口部から多くの河川ごみが流入する。
  • 詳細は片岡ら(2017)の論文参照。

下流エリア

人工構造物が偶然河川ごみのたまりやすい環境を作り出している。

下流エリア
  • 流速の遅い陸側に河川ごみが滞留⇒橋脚付近の流れ場で陸側に寄せられる。
  • 足場の鋼管に支えられたヨシ群落が導入路をつくり、北風に寄せられる。

排水ポンプ場

流域人口が分かっている支川にて、本川とつなぐがる排水ポンプ場を対象に、トラップされる河川ごみの量を調べる。 単位人口当たりが排出する河川ごみの量を推定するのに用いる。 行政と連携して実施している。

◆対象小河川の基礎調査
・流路延長5.5km
・当該都市の人口密度 9,376人/km2
・流域面積 18.5km2
・排水ポンプ稼働状況 1t/sec 2台が常時運転
・1日当たりの河川ごみ量60kg(2016:自然系ごみも含む)

排水ポンプ場
  • 河川ごみの構成比は・・・(時期調査にて)
  • 流域人口あたりの河川ごみの量は・・・(時期調査にて)
本事業は三井物産環境基金の支援(2016-2019)を受けて実施しました。 案件担当者:今村かずゆき

■発生源対策に関する考え方 限界効用逓減の法則*に照らし合わせると、河川/海洋に流出するごみを完全に0にするのは難しい。厳正な管理をしても自然界に出てしまうごみは確率論的に必ず一定量存在する(人口比率)。当該事業は自然界に出てしまったごみを如何に効率的に回収するかに焦点をあてたものである。もちろん、発生源対策において、過剰包装など本当に必要のない使い捨てプラの利用削減の方が優先度が高い。
*単位量当たりの財(モノやサービス)の投入によって得られる効果。次第に減少する。

参考

日本財団とコカ・コーラも類似の調査を実施しているようです。

こちらより(コカ・コーラ)

[提供]分析用のマイクロプラ

分析用に荒川河口のマイクロプラスチックをお求めの場合は提供しますのでお知らせください。

洗浄せず、土壌と一緒に発送します。送料(着払い対応も可)+ご寄付をお振込みください。
1サンプル(土壌+マイクロプラ:300ml程度)当たり送料込みで4,000円程度を想定しています。
※土壌と一緒に発送しますのでナノプラスチックサイズのものも含まれていると思います。
※現状のFT-IRの精度では検出できない可能性があります。
※シャーレに入っているマイクロビーズは歯磨き粉から抽出したものでサンプルです。

ご不明な点がございましたらお気軽にご連絡ください。

マイクロプラスチック

自然科学アプリSOIL / かこさとし作
~地球 その中をさぐろう~

「Soil(ソイル)」は1975年に出版された「かこ さとし」の代表作「地球 その中をさぐろう」に登場するシーン(地形)を「土」を主題として、「カキヌマ ツトム」が新たに絵素材を描き起こしてリメイクしたアプリ。

地球の半径は約6,370km。でも、わたしたちが暮らしているのは、そのいちばん外側の、地殻(ちかく)とよばれるわずか5~40キロメートルほどの層の表面です。そして、地殻のもっとも外側の、わたしたちが触れられる浅い部分だけに「土」はあります。

わたしたちがものごころがついたときから、当たり前のように知っている土。しかし、それが一体何なのか、どのようにしてできたものなのか、そして、私たちの生活や他の生き物たちにどのような影響を与えているのか?

この作品にEXTRA STAGEとして、「河川ごみ問題」を考えるステージ荒川河口1(ミクロ)、荒川河口2(マクロ)を制作しました。

荒川いきもの図鑑